展覧会

2018年 春季展

新館

ミフラーブのなかの樹と華・水壺・ランプ

イスラームでは、一日に五回、神への祈りが奉げられています。厳粛な空気の中、聖地マッカ(メッカ)に向けて祈る人びとの膝下には絨毯などが敷かれますが、それは日常空間と祈りの空間とを隔てるという重要な役割を担っています。

イスラームの大きな宗教施設内で、人ひとりが座れる程の大きさのアーチ形が整然と並んだ床面を目にすることがありますが、祈祷用の敷物の典型的なデザインとして、アーチ形を描いたものがあり、それを「ミフラーブ絨毯」と呼んでいます。「ミフラーブ(メフラブ)」とは、マッカの方角を示すアーチ形の壁龕(へきがん:壁につくられた窪み)のことです。

古典的なミフラーブ絨毯には、花壺やランプがよく描かれています。花壺から溢れる花々には永遠の命が示され、また光を表すランプは、神の存在を象徴するといわれます。

敷物のなかでも贅沢な絨毯は、近代の中東において欧米への輸出産業として発展しますが、ミフラーブ絨毯も、また古典的なデザインのひとつとして、宗教的なモティーフを含めながら、華やかに彩られています。
今回は当館所蔵のミフラーブ絨毯に描かれた文様をとりあげます。

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主な展示品

タブリーズ ペルシア北西部(ハギギ工房)

20世紀初期 213×140㎝

ミフラーブ絨毯のなかでも、この形式のものは「スルタンズ・ヘッド」と呼ばれている。 トルコ、イスタンブールのトプカプ・パレス・ミュージアムや米国、メトロポリタン・ミュージアムなどにも類例があり、パズルのピースのような区画には装飾的な文字が記されるが、こうした例の多くはクルアーン(コーラン)の文言を入れたものが多い。
この作品の場合は、そうした絨毯のデザインを踏襲しつつ、個々の文様の細かさや配色、ミフラーブや蔓草の曲線など、より装飾性を強めたものに変化している。また、文字の方も、シーア派の多いペルシア地域で作られた絨毯らしく、4代カリフ、アリー・イブン・アビー・ターリブ(?-661)の格言が綴られている。

フェルテェック、アナトリア中央

19世紀中期

(新館所蔵品紹介頁http://www.hakutsuru-museum.org/annex/ 参照)

クラ、アナトリア西部

20世紀初期 134×107㎝

祈祷用の絨毯として作られたもの。ミフラーブ内に水差(ポット形)が置かれ、その細い口から生命樹が左右対称に枝を広げている。バラやカーネーションの他小さな花をつけた植物であふれている。こうした絨毯は結婚の際に道具のひとつとして織った「キズ・クラ」と呼ばれものに多いとされる。

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