展覧会 2015年秋季展

新館

20周年記念名品展 嘉納秀郎コレクション オリエント絨毯~人を彩る楽園と鳥獣~

平成7(1995)年1月、神戸は阪神・淡路大震災による甚大な被害を蒙り、
当館においても、同年3月からの春季展示開催が見送られました。同時に予定されていた新館の開館も延期。
半年後に迎えた展示再開と、それに伴う新館の開館は、当館にとり「復興記念」ともなったのです。

開館当初、国内最初のカーペット・ミュージアムとして、注目をあつめた新館は、
当館第四代理事長嘉納秀郎(1934~2010:白鶴酒造十代目)の蒐集した中東絨毯を主な展示品とし、
その後、同氏蒐集によるアフリカの仮面・彫刻などや、篤志の方よりご寄贈頂いた絨毯の公開に加え、
平成23(2011)年からは中東絨毯・文化を知る機会の提供を目的として、
専門家をお招きした「新館レクチャー」やワークショップなども開催しています。

中東といえば民族・宗教・思想に起因する紛争など、深刻な問題を抱える地域について、
日々報じられているところですが、歴史的に多様な文化・美術を生んできた地であることはいうまでもありません。

この度は当新館開館、そして震災復興20周年記念に託し、中東文化・美術の発展を祈念したいと思います。

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主な展示品

イスファハン、ペルシア中央部

19世紀後期 214×140cm

ボーダーは伝統的な直線的な区画ではなく、白い唐草文で飾る二重の赤の曲線の帯で分けられる。蔓草文様には、パルメット文と総称される大きな花文が連なるが、なかには中国の陶磁器や漆などの工芸品で柘榴・牡丹文と呼ばれる文様が描かれている。また、紺地のボーダーには鹿・鳥・兎の動物、白地のフィールドには四種の鳥が描かれるが、それらは周りに描かれる植物の動線に沿って配置され、あたかも植物文様に同化するかのようである。緻密で複雑な文様構成だが、全体として上下左右に完璧な対照をなす。

ウシャック(ロット)、アナトリア西部

17世紀 152×117cm

赤地に黒の輪郭線をともなった黄色の鮮やかな幾何学文様を施す。細かな文様に青色を挿すのもこの種の絨毯によく見られる配色である。この絨毯ではボーダーにロゼッタ文様と、かぎ形の繋ぎ文様、マイナーボーダーにはS字の繋ぎ文を配する。ロット絨毯は、16世紀以降、ヨーロッパに輸出されたオスマン・トルコの幾何学文絨毯のひとつである。その多くがキリスト教会の所有物となり、宗教画にも描かれるようになった。この絨毯の名もロレンツォ・ロット(1480~1556)が描いた絵画に登場するため、この種の文様が描かれる絨毯の総称となった。

カザック セワン コーカサス

1900年頃 211×126cm

フィールド中央の方形内、星形はコーカサス・アナトリアなど、広くみられる文様である。その外周、四方に向けて配置された花が描かれる赤い地は、カザックの作品によくみる駒形(十角形)だが、それを囲む緑・黄・白・黒の図形は、この駒形とその上下の矢じり形とを内包する独特のメダリオンとして構成される。この大胆で独特の形のメダリオンとフィールド四隅に描かれる樹木のモティーフはセワン・カザックによくみられるものである。この絨毯には、樹木の隣に人形が描かれている。

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